muku

Muku

ムク

mukuの新作のご注文を各地で受けています。一度生活の一部になると手放せなくなる服。mukuのデザイナーたちも道具としての服と呼ぶように、忙しい毎日の平均値を上げてくれる日常のために服です。mukuとの出会いを度々聞かれて、お話しすることがありますが、改めて振り返ってみたいと思います。

mukuはドーヴィレとミンドウガスが立ち上げたブランドで、はじめはふたりの娘のアゴタの誕生をきっかけに子供服をつくっていました。私がドーヴィレに出会ったのは、2010年の夏のこと。私がリトアニアに興味を持ったきっかけは演劇だったのですが、意気込んで乗り込んだ夏のリトアニアは演劇関係はオフシーズン。当時はまだ英語の情報も少なく、インターネットでは詳しい情報がわからず、とにかく行ってみようと旅を決行したのです。連夜お芝居三昧を期待していたのに、何も観ることができずにがっかりしていたところ、知り合った建築家のヨビタさんが有名な舞台女優さんを知っているから、会わせてあげるわ!と言って約束を取り付けてくれました。不思議な展開でしたが、これも一期一会です。大女優であるダリア・オベライテさん(Dalia Overaite)とある日の午後に会うことになり、ヨビタさんの経営していたクラフトのお店で待ち合わせをしました。ダリアさんは同じく俳優のご主人と一緒に現れ、そこに便乗してやってきたのが、娘さんのドーヴィレでした。日本贔屓のドーヴィレは、立ち上げたばかりのmukuをいつか日本で売りたいんだと言ってカタログやショップカードをくれました。当時は、リトアニアのものを輸入することなど考えてもいなかったので、どこかお店を紹介してあげたらいいのだろうかと思って別れました。ダリアさん夫妻はどこか観光しなくてはと琥珀ミュージアムに連れていってくれたり、人形劇場のディレクターであるご主人がお休みの劇場の中に入れてくれたりと、つかの間の時間を過ごしました。

その後、リトアニア文化の紹介をはじめた私は、大人のためのコレクションをはじめたドーヴィレと再会し、mukuを日本で紹介する役目を担うことになり、今に至ります。

私にリトアニアを教えてくれたお芝居は、リマス・トゥミナス氏というリトアニアでは誰もが知る有名な演出家によるものでした。当然、ダリアさん夫妻とは演劇界の仲間で、トゥミナス氏の娘さんの一人はドーヴィレを幼なじみ。トゥミナス氏の娘さんを通してお芝居に感動した日本人がリトアニアのお店を東京に開いたことがトゥミナス氏の耳に届いたというのです。10年余りの時を経て、リトアニアと出会うきっかけとなった作品を生んだ人に自分の存在を知ってもらうことができるとは、夢にも思いませんでした。

私の無計画な旅は、思いもよらない方向へ舵をきり、今でもその旅が続いているのです。

Fragments

Moments